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断片のメモ_独白する彼女の記憶(5)『かえれない海』




「ざぁ、ざぁ、ざぁ。


『糸。糸で繋がっていました』


 かつてあなたはそこにうずくまり、なにものにもおかされない海の中に居ました。
 ひたり、眼を閉じて。ゆらり、浮かんでみたのでしょう。そこから離れゆらゆらと。
 ざぁ、ざぁ、ざぁ。そのまま海を這い出たとき、多分そんな音が鳴りました。


『欠片。欠片を握り締めていました』


 今はもう、そこにかえれないとあなたは言います。
 かえれない、とあなたは言います。


『覚えていますか? あなたと海を繋ぐ糸を切ったのは、あなたではなかった。あなたは海の中で硝子のように輝く欠片を持っていて、けれどその使い途を知らないと言ったのです。

 あなたがそこに居るのをやめた日、あなたの海はしにました。あなたは今も、欠片の使い途を知らないまま。さざなみの音がなつかしい、と呟くばかりですけれど』


 あなたはただ、海を這い出た。
 思うために。ただひとつ、思うために。


『さざなみの音がなつかしい、と』


 もう、かえれません。
 もう、あの日の海にかえれません。


『覚えていますか? あなたは欠片を握り締めたまま、それをどうしようかと考えているようでした』
『あの日からずっと』
『ずっと、ずっと』
『さざなみの音が』
『なつかしい、と』


 ざぁ、ざぁ。
 ざぁ、ざぁ、ざぁ」



-Syrup16g 『Reborn』



 050204と記録されている詩作ノートより

2010.02.04 01:50 | | コメント(0) |

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Author:いこの
たんたんとお酒をいただきながらssを書いている私の脳がじわじわアルコールやニコチンにやられていく様を観察できます
次また前触れなく長期に渡って休んだらぶっ倒れたんだなと把握してください


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