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感想 ジェネリック作品集75 『あ・た・い』 くつしたさん

「うぎぎのマイリスト……」

 マイリストっていったらマイリストです。折角登録したのだから読み返すのもいいね! と(酔った頭で)考えていたのが既に三日前くらいのお話。この三日ですか? その内日記に書いて残してみよかな。ほとんどギャグとしか思えないことが起きてましたゆえ

 とてもお気に入りで、暫く投稿されていなかった方の軌跡を追うことが出来るのはよいものです。うぎぎ保守担当の方、おつかれさまです。

 今回の作品もそのひとつ。忘れずにリンクもはりますともさ。ジェネリック作品集75 『あ・た・い』です!

 以前、無印作品集72『像をつくる、護る』についてこの場にて感想を残させていただきました。

 いつものごとく、作品の内容について触れる部分があります。未読の方は、その点について留意いただければ幸いです。では、参りましょう。



 * *


 あたいのしたい。/あたいとしたい。/あたいとたましい。/
 あたいは「したい」だ。/あたいはしたいをはこんだ。/あたいはたましいをはこんだ。/
 あたいは「したい」だ。/したいはあたいのだ。/たましいはあたいのだ。/


 あれ。あたい、どうしよう。あたい、「したい」だ。どうしよう。しんだら、どうなるの。



 *


 あたい。あたい。あたい。何処をとっても「あたい」づくしの「あたい」の中。
「あたい」の中で、「あたい」じゃない「あたい」と「あたい」が「あたいはあたいだ」とかいってる。
 ああ、やめて。喧嘩しないで/と、「あたい」は思った。


 
 * *


 こと幻想郷において「あたい」という呼び名を持つといったら有名なお三方。
 タグはついておりませんが、チルノ・お燐・小町が登場します。「あたい」繋がりで作品を書きたいと思った時期もありましたが、如何せんそれはかないそうもありません。

 こうして感想を残そうと思うのですけれど。正直なとこ、どこまで本作品の魅力をお伝えできるのかいつも以上に自信がありません。文章を追えば追うほどに感じられる、この方の物語に対する筆力の高さといったら!
 なんて言えばいいんだろう? 物語が「折れない」。ゆるぎない。弾力? が大きいとか。ううむ(すみません意味不明で。個人的な印象です)。

 じっくり一文字一文字読んでいって、「物語を読む」ってこんなに快感だったか、という形容しがたい気分。文体が己にとってジャストミート過ぎるというのもあるやもですが! 
 物語がずっしりと精神的に重いというのとはまた趣を異としている印象です。読み終わったのちの後味については、皆様に体感していただきたく思います。


 さても。
 あたい筆頭チルノちゃん。あたいは死体と思い声を発さず。その死体を見つけたのが、死体運びのお燐ちゃん。そして三途の川が案内人、小町さんなのでした。

 作者さま曰く、この作品はふたつの物語で構成されます。(前書きにありますが)『始めの話が【あたいの……】で後の話が【あたいのなか】』ですね。

 これが構成の妙というものでしょうか。【あたいの……】を読みきったあとの【あたいのなか】は殊更あたまの後ろっかわが痺れる思いでした。好きになるひとはほんと好きになるであろう文章なのでしょう。……好きすぎる……。あときっとこの作者さんはチルノちゃんが好きすぎるんだと思う。自分を死体だとおもっちゃって、お燐ちゃんの猫車に載せられて「死んでるから声だしちゃ駄目なんだ」とか思ってるチルノちゃんのめんこさ具合が半端無い。落ち着けよ

 別な作品も眼を通される機会がありましたならば是非。


 どうしようもなくネタバレになってしまうので明言は避けますが、読んでる中で違和感として残ったのは一箇所。たった一箇所の「あたい」について、意図が読みきれなかった部分がありました。けども! 個人的には瑣末な問題です。

 読み終わったら、も一度あたまからぜひ読み直してみてください。
 ひっそりとオススメさせていただきます。


 * * *



 感……想……?
 ごめんなさい。こういうのって、いやいつも思ってはいるものの、何処まで我侭に書いてよいものか。好きすぎることが前面にありすぎてうまくものを言えてる気がしない。うまくものを言えないという観点であれば平生からそうか。そうなのか。駄目じゃねェか!
 なんでしょうね。こう。理屈でものを読めない分、好きなものは気持ち悪いくらいベタベタに褒める。私は好きな作品を好きと語れて非常に大満足なんですけれど、こういう処にも己の身勝手さがよくよく現れているというか。すみません。

 駄目自慢をしたところでしょうがないです。これからもちまちま読んでいきます。
 素敵な作品を紡ぐみなさまに、心より感謝です。



-Adebisi Shank 『Masa』


 途中のやりたい放題ギターソロでどうしても吹く

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2010.10.25 01:18 | | コメント(0) |

感想 無印作品集111 『いくとせいくとていくはいく』 蛸擬さん

 ゆるい夜風が身体にやさしいこの頃。しかしながら斯様な季節の変わり目となると、職場のみなさまも容赦なくぱたぱたとお倒れになる。残った面子に対する皺のよりっぷりが冗談じゃないレベルです。しぬぞ。

 当管理人は季節の変わり目じゃなくても駄目なときは駄目です。これでも人間早々壊れたりしないところが神秘的というかなんというか。生きてりゃなんとかなるもんです。

 さても。そそわ無印感想第二段です。作品はこちら
 以前この黒歴史場にて『パノラマ郷綺譚(無印作品集77)』の感想を残させていただきました。該当の日記を見返してみると、この作品集は割かし感想を書いていたという。素晴らしい作品も相変わらず多々! その中でもとりわけ衝撃的だったのはやはりこの作品だったのです。2009/7/1……退院して間もない頃ですね。眼の前が遠くなる

 お話が逸れました。いつものことです。なのでいつものように麦酒の入ったグラス片手にばちばち参ります。平日ですから。ほどほどに。うん

 例によって、本編の内容に触れる部分が出てしまいます。未読の方はご注意ください。





 * * *


 天人、流るるように生く。
 年々歳々、花相似たりと紡がれど。歳々年々、天人変わることなく侭に在るのが常ならん。

 而して。果てを得るのは悠久の世界ではなかった。
 いつだって、世に等しく在る小さな一個に向けて。その終わりの兆しは告げられる。

 天人、あるが侭に逝く。
 かの女の傍らにあった者は、竜宮の使い。
 五衰が兆しの顕れた天人、その果てを得る際の言葉を聞き届ける。


 天人は言った。
 比那名居天子は言った。
 身体尽き果て、魂は輪廻すると。
 それがまた世に還って来るまで、己を待っていて欲しいと。

 竜宮の使いは頷いた。
 永江衣玖は頷いた。




 盤石劫を過ぎて尚、連綿と時は流れて。
 世の姿は常に変わらず。
 周りにある小さな一個たちは。
 ひとつ、またひとつと小さな果てを得ていく。

 ひとつ約束を交わした魂だけは、未だ還らず。
 されど永江衣玖は生く。
 されど永江衣玖は行く。
 約束など。守ってもらえるなど、かの女は思っていない。
 ただ。そうやって待っているのだ。幾年往くとて。今日も今日とて。




 * * *




 個人の印象でありますが、蛸擬さんの描く文章はべっこう飴のイメージ。噛んで砕いたら勿体無い感じの。懐かしい甘みと、あの透き通った紅茶色に似た文章。
 時折文語的な言葉遣いが出てきて、それが何となく好みです。片仮名の使い方とか、しつこい訳ではないのですけれど印象に残るなァと思います。更に個人的な話になると己はかなり影響されたりしてします。

 さても、天人てんこちゃんと衣玖さんのお話です。
 天人五衰となれば、やはりひとつの「死」がテーマとなるのでしょう。誰かが居なくなってしまえば、そこにはぽっかりと空白があく。それは周りを全部飲み込んでしまったりもするし、時にはされるが侭に埋められてしまったりする。個人の感想としては、この作品は「空白が埋められていく」有様を描いた物語だったのかも、などと思ってました。

 ただ、その空白を埋める時間は果てしなく長い。


  *

 「……百年に一度、天界へ昇って来なさい。ここから西へ行った所に、天の盤石と言う大きな岩がある。四方ひと由旬は超える大きな岩よ。それを、」
 握る手のひらは私の元を離れ、私の纏う羽衣を捕えた。
「羽衣で、払いなさい。百年に一度だけ、済んだらまた百年待って、また昇って、払って、百年待って――盤石磨り減り消え失せるまで、続けなさい。それくらいたったら、私は、戻って来るから。きっと戻って来るから。それまで、衣玖は、待ってて」
 できる? と覗かせたその瞳の色に、私は最初で最後の、不安の色を見た。
 強がりで隠しきれないものを、私はそこに見た気がした。

(本文より引用)


  *


 はじめこれを読んだとき、どこかで聴いたことがある内容だなと思っていたのですけれど。磐石劫のお話かと気付くまで時間がかかりました。大崎善生先生の作品のどこかに出てきてた記憶がある
 夢十夜の方は、不勉強な己を憎みつつ。感想欄を見るまで判っていなかったのです。ちくしょう

 駄目だ。感想から逸れてはいけない。すみません
 作品として丁度良い長さだなァと思ってましたが、心情の機微を表す言葉が印象に残ります。読む方によっては癖があるー、と思われるかもしれませんけれど。今回の作品は衣玖さんの一人称で、長い長い時間を以て思う彼女の心が切々と流れ込む。

 
 うぅむ もひとつ間に引用を挟もうと思ったのですが、衣玖さんと他の方との淡々としたやりとりは是非実際に眼を通していただきたいのでちょっと割愛します。

 その代わり、最後にこの一文だけは。



  *


 私は顔を上げた。暁天の色は深く、その光は目に染みて、痛い。膝をつき、知らず、呟いていた。
「総領娘様、少しは、面白かったでしょう?」
 馬鹿ねえ、と言われた気がした。あの、高慢をそのまま音に表わした様な声で。

 ……

(本文より引用)


  *


 ずっとずっと、途方もなく長い時間を過ごして。
 そうして呟いたのです。「面白かったでしょう?」と。この一文が眼に入ったときは、もう堪らない心地だったのです。
 そして、物語の結末は。もし機会があるのでしたら(既に読まれた方も多いかと思いますけど!)、是非ともご自分の眼で確かめて欲しい。
 これは確かなる「物語」であります。作品の表題からしてやたら素敵に思ってましたが、優しいながらに鋭いのですよね。酔った勢いで言うとファンなんです! なんか結構言ってる気がしますが 僻地ですし言ってもお咎めない 筈……

 蛸擬さんは『ナポリを見てから死ね(無印作品集89)』なども軽妙な塩梅で好みなのですが、『欺雪の雪(無印作品集86)』も個人的にとてもお気に入りです。パノラマ郷綺譚、そして今回感想を残させていただいた作品と並ぶくらいに好き。レティさんとお燐ちゃんが同時に出てくるなんてあんまり無いと思います。そのふたりのキャラクタが好きな方なら是非。あまりにも、あまりにもうつくしい。




 * *


 気持ち悪いくらい好き放題語りすぎたぞ。変なテンションで申し訳ないです。
 今月はなんとかちまりちまりと更新していきたいと思っておりますので、気紛れに訪れた方が感想に興味を抱いていただけたなら幸いです。

 それではおやすみなさい。ありがとうございました!



-The Flaming Lips 『The Ego's Last Stand』

2010.09.22 01:27 | | コメント(0) |

感想 作品集123 『死んだ彼女がもう笑った』 鹿路さん

 一気にまとめてでは無く、ひとつひとつちまちま語っていく姿勢。今回の作品はこちら
 リンクを貼って良くなっただなんて本当に昔から気付いていたよ!
 怠惰! この怠惰の虫が! すみません過去分の感想にもいつの日かリンクを貼っつけたりします

 はい。そそわにおいて大好きかつ素敵な作家さんのひとり。以前この黒歴史場で感想を残させていただいたのが『御日様のあまい蜜(無印作品集78)』でした。78……一体どれほどの時が流れて……言葉の海はまことに膨大。

 例の如く、というか随分と久方ぶりではありますけれど。こちらは私が残す単純な感想です。留意はしますが、物語の内容に触れる部分もあります。未読の方はご注意ください。

 それでは、参りましょう。


 *


 さてもさてもと酒の宴、酔気や巡らん其処かしこ。酔うは人。あるいは人にあらざるもの。
 例えば亡霊。往くあてのないもの。普段の腹ぺこが起こす動きは、酔いて相変わらずの。
 例えば閻魔。魂を裁くもの。普段の堅物が零す言葉は、またしても相変わらずの。
 例えば妖怪。その字(あざな)の頭に大の字をつけて呼ばれるもの。普段の胡散臭さが醸す雰囲気は、ますます一層強くなり。

 例えば覚り。心を読むもの。普段は揃わぬ筈の面子が揃った宴の場にて。そのまなこに流れ込むは面妖なる他者の心。

 「普段は揃わぬ筈の」。
 そんな宴が眼の前に。

 何の為?
 何の為に?

 さてもさてもと酒の宴。酔気は普段の有様を、やわやわとしたものに変えてしまう。
 風車が起こす風のよに、くるくるゆるく混ぜ込むのです。
 幽かな違和を、紛れさせてしまう程に。


 * *




 どうしようかって、いきなり説明に困るという醜態を晒します。己の場合が書くときも読むときも素面であることがあんまり無いものですから、宴会が背景に据えられているとそれだけで愉しくなります。
 場面のひとつひとつが、物語として素敵です。非常に多くのキャラクタが登場していて、その顕し方が素晴らしい。完全なる一人称では無く、それでいて折々に挟まれる心情がするりと溶け込んでいるという。

 冒頭は、幽々子さまによるいつも通りの奇行から。タイトルが「死んだ彼女~~」だったので、その後の展開に期待しつつも違和なく引き込まれていったのですが。タグのトップに躍り出ているさとり様の心の動きようがなんとも魅力的です。


 *

 皮膚一枚の下に深海のような感情があるのなら、表の笑顔も柔和な言葉も価値はない。かつてさとりは、そう思っていた。

 (本文より引用)

 *

 さらりとこんな文章が挟み込まれる。直喩の使い方って、それを使う本人がどれだけのことを見て、想って、言葉に置き換えてきたのかの積み重ねなのやもしれない。そんなことを考えたりします。多用されすぎると読み手としては若干疲れるかもしれませんが。この言葉の変換率は本当に羨ましいです。

 宴の席は続き。様々な面子と会話していくさとり様。表のやりとりだけではなく、彼女は他者の心が読める……面子的に読ませてくれない方々も多かったですが!

 心に結界張られた挙句それがパスワード式でしかもそれが二秒に一度ランダムで文字列が入れ替わる仕組みになってるとか。
 「ぱりやーっ!」とか。
 すみませんこの部分だけ書いても訳が判らない。けれどこの「ばりやーっ!」は大変素晴らしい。のですよ。

 ただ、さとり様が本気で読もうと思ったら読めたのかもしれません。物語の終着を見届けた今となっては、彼女がこの物語のもうひとりの主人公だったのかもしれないな、と思います。


 *

 半霊を曳いて川原へ下りていく妖夢を目で追って、紫は肘掛けによりかかって、長く柔らかなため息を吐いた。
「そうね。違うとしたら、妖怪はけっして自殺しない。自ら命を絶った妖怪の話なんて、きいたことがありますか」
 質問ではなく、それは独り言のようにさとりには聞こえた。

 (本文より引用)

 *


 作品タイトルがあっただけに、妙に印象に残った一文。
 ”妖怪はけっして自殺しない”。
 そういえば……うぅむ、成る程と。自らが持っていた観点とは違う考えを明示された気分で、新鮮な印象でした。妖怪にとって、喰ったり喰われたり、とち殺したり殺されたりという生々しい縮図は想像に難くなかったのですが。何処か己の中では「自らいのちを絶つ」という心の動きも在り得るのかもしれないと、漠として考えていたのです。それは今も変わらぬままですが、思わず「おぉ」と声を漏らしてしまいました。


 そして、亡霊嬢。幽々子さま。

 *


 手のひらに拾ったそれは確かに桜だった。花をつけた桜などないはずなのに、と顔をあげたさとりはあっけにとられる。
 一面、桜吹雪だった。桃色の鱗の小魚の、ものすごい数の群れに取り巻かれているかのようだった。どれだけ散らしても尽きることのない、夥しい花をつけた枝が網の目のように空を覆っている。
 彼女は、そこに居た。見開かれた目はふたたび閉じることはない。花びらは滾々と、まるで瞳から湧き出てくるかのようだった。
 無限に尽きることのない井戸のように。

 (本文より引用)

 *


 唸った。唸ってしまった。なんなのだろう、この描写は確かに幽々子さまのことで、桜は勿論印象的で、けれど、これは。瀟洒な、は少し違って。幽玄優美、と一言で済ませたくも無い。
 幽々子さまが描写される作品だと、twinさんの『乱れ咲き(作品集76)』が物凄く好きなのですが(長めですが、是非ともオススメしたいです!)、あの方の重厚さとも趣を異とする。
 個人として敵わないなァ、と思うのはこういった言葉の繋ぎ方です。酒の場の雰囲気も相まって、何処かふわふわしているのですけれど。それとなく鋭利で、切られた痛みに気付けないような何かを孕んでいる。ああもう
 この物語において、登場する回数こそ多くはないというのに。「幽々子」というキャラクタ自体が既に素晴らしいのもありますが、殊更に映えている印象。

 そしてこの物語の、真の主人公とは。この面妖な「宴会」とは何のためのものであったか。
 もし興味を抱かれたなら。それはみなさまの眼で確かめていただければ。構成の妙も然ることながら、Rate14.19(2010/9/17 2:30現在)は伊達じゃないです。最後の場面でもう「あぁ」とか何か声にならない声とか漏らしてました。

 死んだ彼女が。もう、笑っていたのです。
 是非ともご一読を。




-------------


 感想になってるのか判りませんが、先ずはこのようなかたちで。長々とお付き合い頂いた方々へ、ありがとうございました。興味を持っていただけたなら幸いです。
 これでひとつ! まだ感想を書きたい作品は残っています。それが今週中に出来るかは正直むつかしいですが

 己も頑張ろうと。有体の思考を連ねつつ、おやすみなさい。


-Julian Casablancas 『Out Of The Blue』

2010.09.17 02:39 | | コメント(0) |

感想 作品集97 『さあ、お茶にしましょう? 改訂版』 無在さん

 長い長い文章を読むにはとても気合が入ります。今日これだけは読むって決めてたんだ!
 腰を据えてじっくりと。酔っ払わない程度の麦酒を用意し。煙草のストックも万全に。
 本年一発目の感想は最新作品集から。つらつらと零していきます故、多分にネタバレを含みます(若干含みます、と当初書いていたのですが読み返してみたら若干どころじゃないよやーと感じたため訂正)。
 未読の方はご注意くださいますよう。

 それでは、参ります。





 * * *


 しあわせに生きたい、心からそう願うやさしい娘が居ました。


 でも。
 紅い館に棲むその娘は、狂っていました。
 それを。狂っているのを。その事実を知っているのは、誰でしたか?
 それは誰もが、『誰もが』、知っていました。

 狂っていました。
 狂っていました、という言葉がありました。

 でも。
 しあわせに生きたい、と願う言葉もまたありました。


 狂っていることと、しあわせに生きることを。
 『でも』で繋いでしまう理由を。
 誰よりも深く、その娘は理解していたのです。



 * *



 冒頭にも記しましたけど、充実の長さと感じました。400字詰め原稿用紙212枚(改行その他込み)! 長いのですが、気を入れて読んだらあっという間です。そそわに投稿させていただくようになってからKb表記にも慣れてきましたけど、原稿用紙換算の方が個人的にはしっくりきます。

 閑話休題。
 紅魔館に棲むものたちお話。あえてテーマを姉妹と限定したくないところは本当に個人的な想いであります。この方の紅魔館に対する気持ちは最早信念と呼んで良いのではなかろうか


 *


 私は紅茶にまた一つ口をつける。砂糖をたくさん入れた紅茶。だが、ぬるくなってしまったお茶は淹れたてと比べて苦味が強くなっているように感じられた。

(本文より引用)


 *


 うわー素敵だぞと感じた紡ぎであります。甘味と苦味は類するもので、紙一重。五感に因る心情の吐露は生々しい。
 フランドール・スカーレットの狂気を描く作品はきっと多く存在しますけれど。妹様の狂気の機微は審らかで、かつ丁寧だなぁと感じました。視点はひとつと限らず、一人称ならではの連なりがとても好みです。
 紅の館に、『狂気』が渦を巻く。誰もが知っていたのです。狂気に正体は必要なくて、ただ『狂気』が、それが在る事実を誰もが知っていました。本人の自覚であり、周囲の認知であったのです。それが根幹にある所為か、読み進めるととても切ない。


 *


 「……どうして、私はフランドール・スカーレットなんだろう?」


(本文より引用)


 *


 物語の解は帰結します。
 それを是非とも、未読の方は確かめていただきたく。
 さあ、お茶にしましょう?




 * * *



 好き勝手放題感想終了。レビューの体を保つのは私には無理です。ぞわぞわするだの冴え冴えするだのだったらなんぼでも言えるんですけど すみません

 最品作品集。96……
 よし、私もがんばろう。気分も充実なのですよ!
 それではまた。倒れないうちはキーボードを打つこともできましょうね。


-THA BLUE HERB 『サイの角のようにただ独り歩め』

2010.01.07 01:00 | | コメント(2) |

作品集93 お気に入りこもごも感想

 灰皿が山盛りになっていることに気付き恙無くダストシュートしてよしよしと頷いて麦酒とってきた帰りにそのゴミ箱蹴倒したら何の意味も無いんだってうおおおおおおおお


 気を取り直して参りましょう。夜中に掃除機をかける空しさ。もう全部吸い込んでくれないか
 久々の感想です。作品集いくつ跨いでのものなのか……備忘メモ(※読みたい作品リスト)ばかり残っちゃってるので、やっぱり年末実家帰る前には読みたいなーと思う次第です。叶うかどうかは置いといて。心意気だけは……

 では、お気に入りの感想ということでさっくり参りましょう。数は少ないですが。
 いつものように(久方ぶりですけど)ネタバレには注意しておりますが、いやそれ触れすぎだろという点があるやもしれません。予めご了承ください。

 何故か彼岸組スペシャル。何かの陰謀です?

 ※一部文章を削除しました。申し訳ございません。


***


『被告人 小野塚小町』 八重結界さん


 明日、四季映姫は小野塚小町を裁く。

(本文より引用)

 *

 部下が不祥事を起こし、上司がそれを裁くということ。全体を通して読んでみて、その設定の細かさも然ることながら。『是非曲直庁』なる閉じられた世界の扱いに舌を巻いた作品。十王が仕切る舎内において、その権力は幻想郷のパワーバランスとはまた離れた位置にあるものなのだなぁと思わされる。物語を綴るための土台をしっかと固めながらに、なんでしょう、ssを綴る上での醍醐味というか。そんな魅力がいっぱい詰まった作品だと感じました。
 映姫が閻魔に至るまでのエピソードが織り込まれます。その類のエピソードは恐らく他の作品でもあるのかもしれませんが、きっとそれこそ千差万別に異なることでしょう。本作品のそれについては個人的にかなり衝撃を受けていましたが、やはり魅力的に思えます。その部分を掘り下げて新たな物語が綴れそうなほどに。
 オリジナルなキャラクタとして描かれる十王の面々もまた良い味で。

 *

「やあ、映姫ちゃん。遅かったね」
 身なりは整い、風体は真面目を絵に描いたような人物だけど中身は風船よりも軽い。映姫は目の前の人物を知っていた。
 当然だ。是非曲直庁に勤めていながら、この人物を知らないはずもない。
「初江王様……私の部屋で何をされているのですか?」

(本文より引用)

 *


 個人的には、ですけど。こと彼岸に居る人物に関する設定については、その「生前」を見据えるか否かで、大分書き方が違ってくるように思います。私の場合は何となく、彼岸の役職についてる方々は現世と切り離された別個の人生(?)を生きる存在であると捉えている節があるのです。そういった意味でも、新鮮に読めました。
 罪を犯した小野塚小町。それに対する閻魔、四季映姫の決断、そこに至るまでの過程を。存分にお楽しみいただけたらと思います。




-『誰の夢オチ』 KASAさん


 今日も今日とて小町はサボる。今日も今日とて映姫は怒る。
 小町さんとしては、そんな姿も可愛いと思うわけでして。我慢ならんこともある。
 映姫さまとしては、そんな態度に業を煮やすこともあるわけでして。我慢ならんこともある。

 *


「もおおおお堪忍袋の緒が切れた!何度も何度も説教しても全く反省しない!!挙句説教を無視して分けの分からない事をやる!!!もおおお許しません!!!!」
「し、四季様?」
 今にも頭からシュポォーーーーーー!と蒸気が噴出しそうな映姫である。ここまで発狂するのは小町にとっても初見だった。
 いつもと様子が違う…と焦る。
「いつかは小町も心を入れ替えてくれると信じていました…でも諦めました!今この場で!今日限りこの場においてっ…」
 映姫はそこで急に黙り、うつむいて真っ赤な顔を振るわせた。あるいは重大な決意の一歩を踏み出さんとしているようにも見える。
 小町は、嫌な予感がした。

(本文より引用)


 *

 短い物語にハラハラさせられる要素がいっぱい。存分に堪能しました。
 こまえーとえーこまの順番を間違えると多方面から怒られそうなので明記しませんが、なんとも『らしさ』を漂わせるふたり。小町がサボる、映姫が怒る、という普段の情景を描きつつ。その収束のさせ方がとても好みでした。結論を言ってしまうと、映姫さまと小町さんのやりとりは鼻血が出そうなほどすきだ カップリングと言い切らないところがミソです。なんのミソだ
 読み終わった今となっては、このタイトルの意味を把握できているわけですけれど。こればっかりは読んでいただかないことには始まりません。ネタバレに気をつけるとこの位しか書けないのですけれど、一個、一個だけどうしても!

 *

 情けない顔で鎌を構えた小町と、お堅い生真面目な顔をして悔悟棒を手に持った映姫。

(本文より引用)

 *

 この一文に震えましたと。この『物語』において震わされましたと。それをひとつ、感想として残しておきたく思います。是非ご一読を!




 ***



 というわけで、以上今回分の感想でした。
 感想というからには勿論オススメなので、そういった観点で言葉を残しているつもりです。本当はもっと残したいのですけれどね! 以前この黒歴史場で感想書きます! と明言していた作品については近々。
 うはー多少頭のもやもやがとれました また自分の書いてる作品について集中します。今日はもう寝ますけど!
 おやすみなさい。


-東方花映塚 より 『彼岸帰航 ~ Riverside View』
 
 また投票あったりするのですかね? この曲素敵過ぎて死にそうになるので一票入れる予定です
  


 

2009.12.04 01:28 | | コメント(0) |

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プロフィール

いこの

Author:いこの
たんたんとお酒をいただきながらssを書いている私の脳がじわじわアルコールやニコチンにやられていく様を観察できます
次また前触れなく長期に渡って休んだらぶっ倒れたんだなと把握してください


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